PythonでLOTO6のデータ分析をしてみた ~その2~

はじめに

その2では、「loto6に当たりやすい目はあるのか?」について以下の手順で分析・解析していきます。

  1. 今までに出た目は偏りがあるか?
  2. 偏りは統計的に妥当か?

データの入手方法や環境の設定方法に関してはその1を参照してください。

PythonでLOTO6のデータ分析をしてみた ~その1~

今までに出た目は偏りがあるか?

まず、ロト6の出目を確認し、どれだけ偏りがあるのかを確認しましょう。

出目の確認

早速、出目の偏りを確認していきます。

In [1]:
#Pandasを用いてデータを読み込み、データフレームに格納します。
import pandas as pd
df = pd.read_csv("loto6.csv", encoding="cp932", parse_dates=[1])
#抽選番号に係るデータだけを使う
df = df.iloc[:, 3:10]
#データ確認
df.head()
Out[1]:
本数字1本数字2本数字3本数字4本数字5本数字6ボーナス数字
0281013273039
119162021435
2151531363813
316182627344013
49152123272843

ここから、meltとpivot_tableを用いて、数値ごとの出現回数が分かるように整形します。

In [2]:
#まずはpandasのmeltを用いて数値を1列の項目に変換
df = pd.melt(df)
#データ確認
df.head()
Out[2]:
variablevalue
0本数字12
1本数字11
2本数字11
3本数字116
4本数字19
In [3]:
#次にpivot-tableを用いて数値ごとの抽選回数を算出
df = pd.pivot_table(df, index='value', aggfunc='count')
df.columns = ['frequency']
#データ確認
df.head()
Out[3]:
frequency
value
1172
2190
3186
4195
5187

回数が分かったので引き続き可視化してみましょう。

In [4]:
#棒グラフで可視化
%matplotlib inline
df.plot.bar(figsize=(8, 6))
Out[4]:
<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot at 0x1a09ebb3550>

見えにくいので並び替えを行い、加えてもう少しy軸の範囲を絞ります。

In [5]:
df.sort_values('frequency', ascending=False).plot.bar(ylim=[150, 230], figsize=(8, 6))
Out[5]:
<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot at 0x1a09eb8e390>

グラフを見たところ、よく出ている数字(6や27)は、220回程度出ているのに対し、あまり出ていない数字(1や7や9)は170回程度であり、そこそこ偏りが発生しているように見えますね。

偏りの評価

次に、1~43までの数値のことは一旦忘れ、この偏り自体を確認・評価していきます。こういう場合、横軸をfrequencyとしてヒストグラムをプロットしてみると分かりやすいです。

In [6]:
#ヒストグラムをプロット
df.plot.hist(bins=7)
Out[6]:
<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot at 0x1a0a21c9f98>

どうやら、190~200回を分布のピークとした形状のようです。おおよそ正規分布的と仮定して、分布の平均と標準偏差を計算してみましょう。

In [7]:
#平均と標準偏差を計算
print("平均:" + "{0:.3f}".format(df.mean().values[0]))
print("標準偏差:" + "{0:.3f}".format(df.std().values[0]))
平均:193.884
標準偏差:11.365

上記の数字がこの分布の偏りの指標となります。

偏りの時系列的変化

次に、この偏りの指標(平均及び標準偏差)がloto6の歴史の中でどう評価してきたかを算出してみましょう。

まず、loto6のデータフレームを受け取り、平均と標準偏差を返すファンクションを作成します。

In [8]:
#loto6のデータフレームを受け取り、平均と標準偏差を返すファンクション
#dfがデータフレーム、iは開催回数を表す。
def getdistInfo(df, i):
    
    #指定した開催日までのデータを抽出
    df = df.ix[:i]
    
    #andasのmeltを用いて数値を1列の項目に変換
    df = pd.melt(df)
    
    #pivot-tableを用いて数値ごとの抽選回数を算出
    df = pd.pivot_table(df, index='value', aggfunc='count')
    df.columns = ['frequency']
    
    #分布の平均と標準偏差を返す
    return df.mean().values[0], df.std().values[0]

このファンクションに渡すiを増やしながらreturnを受け取ることで、偏りの時系列変化を算出することができます。

In [9]:
#データフレームを読み直す
tdf = pd.read_csv("loto6.csv", encoding="cp932", parse_dates=[1])
df = tdf.iloc[:, 3:10]

result = []
for i in df.index:
    result.append(getdistInfo(df, i))
    
result = pd.DataFrame(result, columns=['mean', 'std'], index=tdf['抽せん回'])
result.index.name = 'times'

可視化してみましょう。

In [10]:
result.plot(subplots=True, figsize=(6, 8))
Out[10]:
array([<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot object at 0x000001A0A2234DD8>,
       <matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot object at 0x000001A0A24624A8>], dtype=object)

抽選回数で規格化するとこんな感じ。

In [11]:
(result.T / result.index.values).T.plot(subplots=True, figsize=(6, 8))
Out[11]:
array([<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot object at 0x000001A0A246E9B0>,
       <matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot object at 0x000001A0A25B30F0>], dtype=object)

平均についてはほとんど変化がなく、標準偏差はゆっくりと減っていくという結果のようです。

偏りは統計的に妥当か?

次に、この偏りが統計的に妥当かを評価していきます。loto6が本当に完全なランダムであれば、1~43のうち7つの数字を無作為に抽出するシミュレーションを、開催回数分行って計算した偏りの指標(平均値及び標準偏差)が、上記で算出した値とほぼ一致するはずですので、それを検証します。
なお、このような確率モデルを使った無作為なシミュレーションにより何らかの指標を評価することを「モンテカルロシミュレーション」と呼びます。

モンテカルロシミュレーションの方法

本ケースにおいては1~43までの配列から7つの数字を無作為に選択することに相当します。

In [12]:
#numpyを使ってモンテカルロシミュレーション
import numpy as np

#プログラムに再現性を持たせるため乱数のシードを設定
np.random.seed(0)

#1~43の数字から重複なしで7つの数字を選択
data = np.random.choice(range(1, 44), replace=False, size=7)
data.sort()

#結果確認
print(data)
[ 5 11 26 28 29 31 37]

モンテカルロシミュレーション結果との比較

これを所定の回数繰り返して仮想的なloto6の結果を作りましょう。

In [13]:
datas = []
numbers = list(range(1, 44))
np.random.seed(0)

for i in df.index:
    data = np.random.choice(numbers, replace=False, size=7)
    data.sort()
    datas.append(data)
    
vloto6 = pd.DataFrame(datas, index=df.index, columns=df.columns)

#結果確認
vloto6.head()
Out[13]:
本数字1本数字2本数字3本数字4本数字5本数字6ボーナス数字
05112628293137
113141722232831
2292027313840
3681019293039
4161113153235

得られた結果を先ほど作ったgetdistInfoを用いて可視化してみます。

In [14]:
vresult = []
for i in df.index:
    vresult.append(getdistInfo(vloto6, i))
    
vresult = pd.DataFrame(vresult, columns=['mean', 'std'], index=tdf['抽せん回'])
vresult.index.name = 'times'

抽選回数で規格化した結果で見てみましょう。

In [15]:
(vresult.T / vresult.index.values).T.plot(subplots=True, figsize=(6, 8))
Out[15]:
array([<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot object at 0x000001A0A25E4438>,
       <matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot object at 0x000001A0A24216A0>], dtype=object)

meanがほぼ同じことは分かりますが、これだけだとstdは良く分からないので、stdに絞って重ねて書いてみます。

In [16]:
#シミュレーションを青、実際を赤で描画
ax = (vresult.T / vresult.index.values).T['std'].plot(c='b')
(result.T / result.index.values).T['std'].plot(c='r', ax=ax)
Out[16]:
<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot at 0x1a0a3711630>

実績(赤)とシミュレーション(青)の結果はほぼ等しく、やはりloto6はランダムと言えそうです。

100回のモンテカルロシミュレーション結果との比較

せっかくなのでモンテカルロシミュレーションを繰り返して、より妥当性を確認してみましょう。まずモンテカルロシミュレーションから統計値を出す部分をファンクション化します。

In [17]:
#loto6のデータフレームを受け取り、標準偏差の時系列変化を返すファンクション
#dfがloto6の実際の結果の抽出番号のデータフレーム、tdfはそれ以外も含めたもの。jは乱数のシードを表す。
def loto6simulation(df, tdf, j):
    
    #仮想的なloto6の結果を作成
    datas = []
    numbers = list(range(1, 44))
    np.random.seed(j)

    for i in df.index:
        data = np.random.choice(numbers, replace=False, size=7)
        data.sort()
        datas.append(data)

    vloto6 = pd.DataFrame(datas, index=df.index, columns=df.columns)
    
    #時系列的な標準偏差の変化を算出
    vresult = []
    for i in df.index:
        vresult.append(getdistInfo(vloto6, i))

    vresult = pd.DataFrame(vresult, columns=['mean', 'std'], index=tdf['抽せん回'])
    vresult.index.name = 'times'
    
    return (vresult.T / vresult.index.values).T['std']

jを1万回繰り返せばその分の結果が返ってきます。ただし、繰り返し回数が多いので、並列計算を使ってみましょう。

In [18]:
#ライブラリのインポート
from joblib import Parallel, delayed

#これがないとjoblibが止まるので入れておく
if __name__ == "__main__":
    #n_jobsがコア数
    vresults = Parallel(n_jobs=1, verbose=1)([delayed(loto6simulation)(df, tdf, j) for j in range(100)])
    
    #concatを使って結合
    vresults = pd.concat(vresults, axis=1)
    
    #結果確認
    vresults.head()
[Parallel(n_jobs=1)]: Done 100 out of 100 | elapsed:  6.6min finished

先ほどと同様の手順で可視化してみましょう。

In [19]:
ax = vresults.plot(legend=False, c='b', figsize=(9, 6))
(result.T / result.index.values).T['std'].plot(c='r', ax=ax)
Out[19]:
<matplotlib.axes._subplots.AxesSubplot at 0x1a0a23b5be0>

赤い線(実際)は青い線(シミュレーション)のなかにすっぽり埋まっていますね。やはり完全にランダムと言ってよさそうです。

まとめ

データの確認とモンテカルロシミュレーションを用いた検証により以下のことが分かりました。ロト6は、偏りがありそうではありますが、基本ランダムと言えそうです。

  1. 今までに出た目は偏りがあるか?
     
    ⇒よく出ている数字(6や27)は、220回程度出ているのに対し、あまり出ていない数字(1や7や9)は170回程度であり、偏りがありそうに見える
  2. 偏りは統計的に妥当か?
    ⇒分布のばらつきはランダムを仮定した場合のシミュレーション結果とほぼ一致しており、統計的に妥当な偏り=ランダムで予測不可

その3では、当たった数字と賞金の関係を分析し、いつどんな数字を選択すると期待値が上がるのか、ということを分析しようと思います。

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2 thoughts on “PythonでLOTO6のデータ分析をしてみた ~その2~

    1. Rosyuku Post author

      本格的に学ばれるなら、モンテカルロ法(又はモンテカルロ・シミュレーション)に関する書籍をお読みになられると良いと思います。まずは試してみたいという感じでしたら、「モンテカルロ法 python」くらいでwebを調べれば良いサイトが見つかるかと思います!

      Reply

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